「そろそろ1人ではしんどいわ… 」

 

79歳になる背中の曲がった母親から そう言われるまで、

気づかなかった自分が恥ずかしい。

 

 

父が他界してから15年間、

毎年たった1人でこだわりの餅をついて元旦に僕らに分けてくれてきた母。
一緒に住むアニキも仕事が忙しくて、

毎年母がたった1人で餅をつくってきてくれてたんだ。

 

 

ちょっと考えれば分かること。

それを考えることもなく、毎年あたりまえのように餅をもらっていた僕。

昨日、初めて年末に1人だけ実家に帰って、母の餅つきを手伝った。

 

 

手伝ったのは、子どもの頃以来だった。

子どもの頃は、今は亡き尊敬する父親と母がきびきびと動き、

手間暇をかけて、たくさんの人に餅をふるまっていた。

 

 

その当時は、あんこ餅やヨモギ餅・紅餅?なんかもあったことを昨日思い出した。

思えば、父が他界してから、

あんこ餅や紅餅が無くなり、

さらに数年後に、ヨモギ餅も無くなった。

 

 

ヨモギは、わざわざ隣県の滋賀まで毎年採りに行っていたらしい。

「もう身体が動かなくなって、1人ではヨモギをあきらめるしかなかったんよ。。。」

昨日そう聴かされて初めて、

母が毎年そんなことを僕らのためにしてくれていたことを知った。

 

 

今では、餅を振舞うのは、僕ら3人の息子家族にだけ。

自分はほとんど食べられないのに、僕らが喜ぶ姿を見たくて、毎年支度してくれていた。

 

 

想いが込み上げ、 涙がこぼれる。

 

 

最愛の父が他界してから15年間、どういう想いで母が一人で餅をつくってくれていたのだろう。

背中が曲がり、杖がなくては歩くのもタドタドしい母が、

息子に苦労や泣き言も言わずに、愛情を示し続けて来てくれた。

母は 強いなぁ。

 

一緒に住む長男に母を任せたままで、

母が1人で支度をして後片付けをしてくれていた事実を見ようとしなかった自分が情けない…

 

母と2人で食べる つきたてのおろしポン酢餅は最高の味がした。

来年こそは、息子を連れて母と一緒に餅つきをしようと 心に決めた。

 

母との餅つき

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